【11月16日 AFP】英国で収監されているイスラム教指導者アブ・ハムザ・アルマスリ(Abu Hamza al-Masri)服役囚が、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)を支援し、誘拐事件にかかわったとして、米国に身柄が引き渡されることになった。英裁判所が15日、決定した。

 エジプト生まれで英国に帰化している同被告は、ロンドン(London)北部のモスクFinsbury Park Mosqueの指導者で、民族的憎悪の扇動と殺人教唆の罪で2006年2月に7年の刑を言い渡され、厳重な警備で知られるロンドン南東部のBelmarsh刑務所に収監されている。

 同服役囚は、米当局が2004年5月に発行した引き渡し令状に基づいて逮捕されていたが、同服役囚の弁護団が裁判が政治的なものだとして上告したために、引き渡し手続は延期されていた。

 これ対し、英国の最高裁にあたる上院上訴委員会が今年1月、上告を棄却したことから、引き渡しに関する審理が行われることになり、今回の決定に至った。

 今回の決定には、ジャッキー・スミス(Jacqui Smith)内相の承認が必要だが、内務省関係者は「即座に」承認されるだろうと語った。

 米国は、同服役囚を欧米諸国に対するジハード(聖戦)を行っているアルカイダなどとの関係があると見ており、同被告の過激な説教はさまざまなテロ事件に影響を与えたとしている。

 米国政府は、1998年にイエメンで起きた欧米人観光客16人の誘拐事件や米オレゴン(Oregon)州に設置されたイスラム過激派の訓練キャンプの支援、ジハードへの参加希望者を中東地域の訓練キャンプに送る金銭的支援を行った容疑などで訴追する意向。(c)AFP/Phil Hazlewood