【10月30日 AFP】イラクで活動する米民間軍事会社「ブラックウオーター(Blackwater)」の警備員がイラクで民間人を殺害したとされる事件で、米国務省が事件に関与した警備員に訴追免責を与えていたと30日、複数の米国紙が報じた。

 ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が国務省の尋問を受けた警備員の話として伝えたところによると、国務省は尋問した警備員に証言した内容について訴追免責を保証したとされる。訴追免責の権限を持つのは司法省だが、この件について司法省に事前連絡はなかったという。

 一方、ワシントン・ポスト(Washington Post)紙は、同事件の調査を担当する米連邦捜査局(FBI)捜査官に、民間軍事会社を管轄する国務省が入手した同事件関連の情報が一切開示されていないと伝えた。

 あるFBI捜査官は、ブラックウオーターの警備員に事情聴取を行おうとしたが、国務省による訴追免責を理由に拒否されたという。同捜査官は、免責措置により捜査が複雑化し、イラク民間人殺害に関わった警備員訴追が困難になったと嘆く。

 米国務省の警備要員は全世界で約1500人しかおらず、米軍にも十分な外交官警護要員がいないことから、米国務省は民間軍事会社を利用している。(c)AFP