【10月18日 AFP】米インターネット検索大手ヤフー(Yahoo)の情報提供により、中国でジャーナリストが投獄された問題をめぐり、米下院外交委員会は16日、ヤフーの上級副社長が2006年2月の公聴会で偽証したとして、11月6日に開く公聴会に同社首脳陣を召喚した。

 召喚を受けたのは、ヤフーのジェリー・ヤン(Jerry Yang)最高経営責任者(CEO)と、法務責任者のマイケル・キャラハン(Michael Callahan)上級副社長。同社が利用者情報を中国当局に提供した後、ジャーナリストの師濤(Shi Tao)氏が投獄された経緯について質問する。

 師氏は、天安門(Tiananmen)事件記念日についての報道を禁止した中国政府の命令をインターネットに掲載し、国家機密漏えいの罪で2005年に禁固10年の有罪判決を受けた。中国当局はヤフーが提供した利用者情報によって師氏を特定した。

 ヤフー側は、中国で事業展開する企業として同国の法律には従わねばならないと、自社の行為を弁明していた。

 下院外交委員会のトム・ラントス(Tom Lantos)委員長(民主党)は、2006年2月の公聴会でヤフーのキャラハン氏が行った証言について「委員会は、ヤフー側が米国議会に虚偽の情報を提供したとの確証を得た」と、11月に召喚する理由を述べた。「偽証が起こった経緯を明確にし、証言が偽りであることが証明される前後の同社の行動について、説明責任を問いたい。また事件後、中国の利用者のプライバシー保護のために、同社がどのような措置を取ってきたかについても調査したい」としている。

 前回の公聴会でヤフー側は、中国当局の師濤氏に関する捜査内容について「何も知らなかった」と証言していた。しかし、共和党のクリス・スミス(Chris Smith)議員によると、公聴会の時点でヤフーが入手していた中国政府の文書は、「同政府の意図についてほとんど疑う余地がない」内容だったという。「米国企業は一線を守り、秘密警察に加担することがあってはならない」と同議員は批判している。

 これに対しヤフーは16日、同委員会がヤフーのみを選び出して偽証したと批判するのは「極めて不公平であり、われわれの過去の証言の性質と意図を曲解している」と反論した。

 ヤフーは他社や人権保護団体など関係各方面と協力し、中国を含む世界各国での事業展開における国際的な行動規範の作成を進めているという。また「外交レベル」で同問題に対処するために米国務省とも協力しているとし、下院委員会に対し「同様の建設的な態度で次回公聴会に臨んでほしい」と逆に注文を付けた。(c)AFP