【5月29日 AFP】北京市第一中級人民法院は29日、収賄罪と職務怠慢の罪に問われていた国家食品薬品監督管理局(State Food and Drug Administration)の鄭篠萸(Zheng Xiaoyu)前局長(62)に対し、死刑を言い渡した。国営新華社通信(Xinhua News Agency)が報じた。

■新薬の承認をめぐる贈収賄事件

 鄭前局長の汚職スキャンダルに関する調査委員会は前月、「同氏は在職中、製薬会社を監督する機関のトップの地位を利用し、新薬承認の見返りに製薬会社から500万元(約8000万円)以上の賄賂を受け取っていた」とする報告書を提出した。

 報告書によれば、「Kongliyuanグループ」が、同社の抗生物質など277の新薬を承認する見返りに鄭前局長に賄賂を贈ったとしている。同氏は、事件が明るみに出た2005年6月に解任されている。
 
 また、同人の元秘書も、200万元(約3200万円)の収賄罪と庶務怠慢の罪で起訴されていた。この汚職事件には、鄭前局長の夫人と息子、そして製薬会社7社の幹部を含めた計31人が関与したとの報道もある。

■中国製品の安全性が問題となるなかでの判決

 この死刑判決が下されたのは、中国産の食品などの安全性が問題になり、国内外で批判が強まっている最中だった。

 中国では近年、公務員の汚職が深刻な問題となっており、中国当局は積極的な摘発に乗り出している。

 一方、最近、中国産食品などの安全性が問題になり、国内外で批判が強まっていることも、今回の死刑判決につながったとみられている。