【5月29日 AFP】自殺した松岡利勝農水相(62)が遺書を5通または6通残し、うち1通には「ご迷惑をかけおわび申し上げます」と書かれていたと、共同通信社が28日伝えた。

 松岡農水相は参議院決算委員会で自身の政治資金問題などについて答弁する数時間前に自殺を図り、議員宿舎で意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。

 新聞報道によると、松岡農水相はパジャマ姿のまま、宿舎の居間でドアの金具に犬の散歩用のひもをかけて首をつっていたという。

 自殺した日本の国会議員は第二次世界大戦以降7人目。時事通信社によると、現職閣僚の自殺は1945年の終戦時に阿南惟幾陸軍相が割腹自殺したことを除けば初めて。

 閣僚のスキャンダルで支持率が急落している安倍晋三首相にとって、今回の事件は打撃となる。安倍氏は自由民主党の総裁就任に力を尽くした松岡農水相を今回の疑惑で強く擁護していた。

 安倍首相は松岡農水相の任命責任について、「任命権者として閣僚のとった行動に責任を感じている」との談話を発表し、遺体と対面後、「大変残念で、ざんきに堪えない思い。農水相のご冥福を心からお祈りします」と語った。

 松岡農水相は政治資金、官製談合疑惑の渦中で自殺した。

 東京地検特捜部は先週、松岡農水相の地元で発覚した林道建設関連疑惑で緑資源機構の理事と課長を逮捕していた。

 松岡氏は25日の記者会見で「大臣として責任を痛切に感じている」と話し、再発防止に努める姿勢を示していた。

 松岡氏はそれ以外にも、光熱水費が無料の議員宿舎に暮らす5年間に約2900万円の不明朗な事務所費を計上していたとして、野党などから厳しく追及されていた。

 事務所費については法的な報告義務はないが、野党は28日の国会で松岡農水相にこの問題の説明を求める予定だった。(c)AFP