写真は西部の甘粛(Gansu)省、蘭州(Lanzhou)で売られている海賊版DVDを品定めする人々(2006年7月21日撮影)。(c)AFP/EYEPRESS
【ワシントン/米国 9日 AFP】米政府は10日、知的財産権の侵害がまん延する中国を、世界貿易機関(WTO)に正式に提訴することを決定した。前日の9日には、両国間で問題となっていた中国の外国音楽、映画、書籍の流通規制についても、同様の措置をとると表明していた。
通商代表部(US Trade Representative、USTR) のスーザン・シュワブ(Susan Schwab)代表は記者会見で、中国で偽造されたベン・スティラー(Ben Stiller)のヒット映画「ナイト ミュージアム(Night at the Museum)」のDVDを示し、「中国における著作権侵害と偽造の水準は、引き続き容認できない高い水準にある」と述べた。
なお、中国は知的財産権侵害の取締強化を公式に表明しているが、米政府は、偽造DVD、ソフトウェア、ぜいたく品、書籍、自動車部品、履き物、さらには薬品までが中国国内で自由に取引されていると非難する。
■WTOの審議は数か月かかる見込み
ただし、WTOの審議には時間がかかると見られている。両国が60日以内にこの問題で合意に達しなければ、米国にはWTOでの調停を要求する権利が認められる。米国の提訴が委員会で最終的に支持されれば、米国は中国からの輸入に報復関税を課すことが認められるが、専門家は、すべての手続きには数か月かかると予測する。
今回の政府による決定を、米国映画協会(The Motion Picture Association of America、MPAA)は、「歓迎すべき当然の措置」と評価。同協会によると、2005年に中国で販売されたDVDは9割が違法に偽造されたもので、こうした著作権侵害により約23億ドル(約2730億円)の被害を被ったという。
また、全米製造業者協会(The National Association of Manufacturers、NAM)は、米国が受けた損害を「可能な限り速やかに」補償するよう中国に呼びかけ、WTOは米中両国にとって、「成熟した貿易関係」を実現する、よい交渉の機会となるだろうとの見方を示している。
一方の中国は、米国によるWTO提訴の動きに反発し、「誤った情報に基づくもので、両国間の通商関係を損ないかねない」と警告した。
中国商務部のWang Xinpei報道官は声明で、「(今回の米国の決定は)遺憾であり、中国は深く失望している。今回の動きは (知的財産権保護について)両国が重ねてきた協力関係を大きく損ない、両国の通商関係にも悪影響を及ぼすだろう」と述べた。
写真は西部の甘粛(Gansu)省、蘭州(Lanzhou)で売られている海賊版DVDを品定めする人々(2006年7月21日撮影)。(c)AFP/EYEPRESS