
【シンガポール 26日 AFP】Garyl Tan Jia Luo被告(17)が、セキュリティで保護されていない隣人の無線LANからインターネットに接続しチャットを楽しんでいたとき、アジアの裁判史に新たな1ページが生まれることになるとは、考えもしなかっただろう。
IT専門家や法律家によると、同被告はシンガポールはもちろん、おそらくアジアでも初めて「『無銭』接続(wireless mooching)」ともいうべき罪で有罪判決を受けた人物だという。同被告は、セキュリティで保護されていない無線ネットワークに無断で侵入しインターネットに接続したとして起訴された。シンガポールの地方裁判所は1月、同被告を18か月間の保護観察処分とする判決を言い渡した。
先端技術が普及しているシンガポールは、アジアで最もネットワーク化が進んだ国の1つだが、無線ネットワークの「ただ乗り」を取り締まるという点においても、地域の先陣を切ったと専門家らは語る。
こうした事例は北米でも過去3年間に数例あるのみで、アジア太平洋地域では類似の訴訟は知られていない。
香港のセキュリティ関連の業界団体、Professional Information Security AssociationのHoward Lau会長は、「香港でも、こうした事例はない。シンガポールは、この分野において極めて先進的」と述べた。
一方、シンガポールの情報セキュリティ関連団体、Security and Information Integrityで分科会長を努めるAloysious Cheang氏は、今回の事件がアジア地域での前例となり、「同様の訴訟が大量に起こされるようになるかも知れない」と指摘した。
米ネットワーク大手、シスコシステムズ(Cisco Systems)のLinksys部門、首席セキュリティコンサルタントのBernie Trudel氏は、アジアにおける無線ネットワークの全通信量のうち、常に5~10%が不法アクセスだという。
Trudel氏によれば、企業の無線ネットワークの80~90%がセキュリティ対策を施しているのに対し、家庭用無線LANで対策を施しているのは40~50%に過ぎないという。このため、家庭用無線LANは不正接続に対し極めてぜい弱だという。
IT関連の法律に詳しいBryan Tan弁護士によれば、数少ない類似事件のうち1件は米国で発生。2005年4月、41歳の男が戸外に駐車した車からノートPCを使い、無断で近隣住宅の無線ネットワークに接続した容疑で逮捕されたと、地元紙St. Petersburg Timesは報じている。
写真は12日、インターネットサービスの広告を掲げた建物の前でノートPCを使用する男性。(c)AFP/ROSLAN RAHMAN
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