【4月30日 AFP】インド・西ベンガル(West Bengal)州で28日、空中に張ったワイヤを伝う滑車から髪の毛でぶら下がって川を横断するスタントに挑戦していた男性が、途中で髪が絡まって動けなくなり、搬送先の病院で死亡が確認された。

 死亡したのはこの種のスタントの距離でギネス世界記録(Guinness World Records)を持つサイレンドラ・ナート・ロイ(Sailendra Nath Roy)さん(49)。ロイさんは28日、大勢の見物人が見守る中、ティースタ(Teesta)川の上の高さ180メートルに張られたワイヤの滑車に自分の髪を結び、ワイヤを渡り始めた。

 ところがワイヤの半ばまで来たところで髪の毛が絡まり、ロイさんは身動きがとれなくなってしまった。見物人たちの声援は、じきに恐怖の叫びに変わった。ロイさんはゴールにたどりつこうと、必死にロープに手を伸ばしていたという。

 だが20分もするとロイさんは全く動かなくなり、地元の人たちがロイさんを助け出した。現場には医師や救急車は待機しておらず、ロイさんは450キロ離れたシリグリ(Siliguri)の病院に搬送されたが死亡が確認された。死因は宙吊りの状態が続いたため神経が衰弱し、心臓発作を起こした可能性があるという。

 ロイさんは2011年、インド北西部ラジャスタン(Rajasthan)州で髪の毛でワイヤからぶら下がった状態で82.5メートルを横断しギネス世界記録に認定されたほか、2012年にはダージリン・ヒマラヤ鉄道(Darjeeling Himalayan Railway)の機関車1両と客車4両を髪の毛で引っ張るスタントを行っている。

 今回初めて現場でロイさんのスタントを見ていた弟のベノイ(Benoy)さんは「兄の勇気を誇りに思う。今回の挑戦も達成できたはずだが、運命は兄の命を奪った。われわれ家族も最も愛されたメンバーを失った」と語った。ロイさんには妻と2人の息子がいる。(c)AFP