【1月19日 AFP】太ももを大きく引き裂かれて助けを呼ぶ男性の姿は、まるで映画『ジョーズ(Jaws)』のようだった―。オーストラリアでサーファーがサメに襲われて水中に引きずり込まれる現場に居合わせた人たちはこう語った。

 タトゥーアーティストのグレン・フォルカード(Glen Folkard)さん(44)は18日午後、シドニー(Sydney)の北、ニューカッスル(Newcastle)に近いレッドヘッドビーチ(Redhead Beach)でサーフィンを楽しんでいたところ、体長約2メートルのサメに襲われた。

 当時、周囲には数十人の海水浴客がいた。目撃者によるとグレンさんの太ももとサーフボードをかみちぎったサメは、グレンさんを水中に引きずり込んだという。

 グレンさんはなんとかサメを振り切り、サメが輪を描いて泳ぐ中を、他のサーファーに助けられて海に血の跡を残しながらどうにか岸にたどり着いた。グレンさんは搬送先の病院で手術を受け、19日の容体は安定している。

■まるで『ジョーズ』のよう

 豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)は、ピーター(Peter)と名乗った目撃者の証言を次のように伝えた。

「まるで映画『ジョーズ』の冒頭部分のようだった。暑い中ビーチに集まっていた人たちが、一斉に海から上がるんだ。私の息子は、サメが水面から飛び上がって魚に食らいついたのを見たと言った。あれはオオメジロザメだってね。彼(グレンさん)は本当に青ざめていた。おそらく大量に出血したんだろう」

 オオメジロザメは、どう猛な中型のサメとして知られており、人間を襲うこともある。報道によると、当時ビーチにいたのは約500人で、うち約100人が海に入っていたという。

 事故直後、付近のビーチは閉鎖された。現場付近に出動したヘリコプターはサメの大きな群れをいくつか発見した。魚の群れを追いかけてビーチに近づいたとみられる。ジェットスキーとヘリコプターによる付近のパトロールは続けられたが、サメが追いかけていたとみられる魚の群れが沖合に移動したこともあり、ビーチの閉鎖は24時間以内に解かれた。(c)AFP