【12月27日 AFP】政府が設置した東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故調査・検証委員会は26日、東電と経済産業省原子力安全・保安院(Nuclear and Industrial Safety AgencyNISA)の災害対策の甘さを指摘する内容の中間報告を公表した。

 世界でも最悪の原発事故の1つとなった福島原発事故について、報告は東電の危機管理対策は機械の故障や人為的ミスなどを対象とし、想定を上回る規模の地震や津波への十分なリスク対策がとられていなかったと指摘。保安院についても、東電に対し十分な安全対策をとらせる義務を怠ったと批判した。

 報告によると、東電と政府が設定した緊急時の対応手順は、順守されなかったばかりか、実効性のないものだったことが分かった。例えば、津波に襲われた冷却装置は電源喪失状態に陥ったが、作業員らは冷却装置は可動していると思っていたために1号機への代替注水の実施が遅れ、その結果、炉心溶融を招いた。

 さらに報告は、現場でのコミュニケーション不足や関連機関との連携不足を指摘。3号機への注水の遅れも連携不足が招いたもので、その結果、水素爆発につながったとまとめた。

 500ページ超の中間報告は、関係者456人へのヒアリング調査によるもので、先に東電が発表した、マグニチュード(M)9.0規模の大地震に対しては「結果的に、なすすべはなかった」とする社内事故調査委の報告とは対照的な内容となった。

 事故調査委の最終報告書は、来夏までに発表される見通し。(c)AFP/Hiroshi Hiyama