【12月16日 AFP】東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故について、野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相は16日、政府の原子力災害対策本部の会合で「冷温停止状態に達し、事故そのものは収束に至った」と宣言した。同日の時事通信(Jiji Press)が報じた。

 これにより、事故から9か月を経て、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が完了したことになる。

 福島第1原発では原子炉が炉心溶解(メルトダウン)を起こし、大気や海中に放射性物質を放出してきた。

 日本原子力学会(Atomic Energy Society of Japan)の沢田隆(Takashi Sawada)副会長によると、「ステップ2」とは原子炉の安定が継続的に保たれた状態。政府やTEPCOが使っている「冷温停止」という言葉が即座に原子炉4基全ての安全を意味するものではないが、基本的には原子炉が冷却され、安定した状態だと言ってよいと思うと沢田氏は話した。

 一方、NPO法人環境エネルギー政策研究所(Institute for Sustainable Energy Policies)の飯田哲也(Tetsunari Iida)所長は、「冷温停止」などの言葉が本来とは異なる意味で使われており、これで問題がなくなったといった誤った印象を与えるのではないかと懸念している。(c)AFP/Huw Griffith