【9月11日 AFP】アフリカ東部タンザニアのザンジバル(Zanzibar)諸島沖で10日、フェリー「MV Spice Islander」が転覆し、少なくとも193人が死亡した。生存者は事故の原因は定員オーバーだと語っている。

 ザンジバル自治政府のモハメド・アブード(Mohammed Aboud)緊急事態相によると、救出作業が日没で中断されるまでに612人が救助された。

 ザンジバルの主要2島であるウングジャ(Unguja)島(ザンジバル島)と、ウングジャ島から約80キロ北東にあるペンバ(Pemba)島を行き来するフェリーは、9日午後9時(日本時間10日午前3時)ごろウングジャ島を出港し、その4時間後に転覆した。

 フェリーには、コメなどを含む重い貨物が積まれていたという。当局者はAFPの取材に「装備が不十分で救助活動が難航している」と語った。

■定員オーバー無視か、生存者が非難

 生存者からは、乗客からの抗議を無視してフェリーに過剰な貨物と乗客を乗せたことを批判する声が上がっている。

 生存者の1人、ザイード・アムール(Zaid Amour)さん(50)は「われわれは港を出る前から、船長と港にいる人びとにむかって、船内が混みすぎていると叫んでいたんだ。人と貨物でいっぱいだった」と語り、「これは事故ではなく、安全でないことが明らかだったにもかかわらず船を出港させた者たちの過失だ」と述べた。

 これまでの死者数ですでに過去10年で最悪規模の事故となっている。最新の情報によると、転覆したフェリーにはイスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」明けの祭りを終えて自宅に戻る家族連れら800人以上が乗っていたとみられる。だが、こういったフェリーは通常、乗客リストが残っていないため、正確な乗船者数を把握するのは困難なことが多い。

 現地のAFP記者によると、外国人の犠牲者や生存者の報告はこれまでのところ出ていないという。

 タンザニアでは多くのフェリー事故が起きている。2009年5月にもフェリーが転覆し6人が死亡した。この数年間に貨物船の火災も複数発生している。

 ザンジバルの主な外貨獲得手段は観光。白い砂浜と、ユネスコ(UNESCO)の世界遺産に登録されているストーンタウン(Stone Town)の歴史建造物が名高い。(c)AFP/Issa Yussuf