【2月28日 AFP】ノルウェーの南極探検隊3人を乗せたヨットが南極沿岸で消息を絶ち、生存が絶望視されている。

 ノルウェー南極探検隊のヨット「バーサーク(Berserk)」号は、1週間ほど前に南極沿岸のロス海(Ross Sea)で激しい嵐に巻き込まれたきり、行方が分からなくなっている。ニュージーランド当局が空と海から捜索を続けているが、これまで破損し凍りついた「救命いかだ」しか見つかっていない。

 ニュージーランドの南極拠点、スコット基地(Scott Base)を管理する「南極ニュージーランド(Antarctica New Zealand)」の責任者、ルー・サンソン(Lou Sanson)氏は28日、バーサーク号が巻き込まれた嵐について、最大瞬間風速50メートルの過去20年で最大だったとラジオ・ニュージーランド(Radio New Zealand)語った。

「とてつもない嵐だった。(ヨットが)損傷を受けたのは間違いない。(生存の)望みがあるとは思わない」(サンソン氏)

■ミッションの危険性に事前忠告

 バーサーク号は、四輪バギーで1600キロを走破し南極点を目指すミッションのため、2月11日に南極・ロス島のニュージーランドと米国の基地付近に到着し、ノルウェー人探検隊員2人を降ろした。このミッションは「非公認」だったと報じられている。

 サンソン氏によると、この計画には安全面で問題があることが指摘されていた。

 米国とニュージーランドの関係者の多くが、この季節には基地を閉鎖するほど気温が大幅に下がると忠告していたという。サンソン氏によると、南極高原は零下34度で、風が強いこともあって体感温度は零下60度にもなるという。

■捜索活動続く

 南極に上陸した隊員2人は、バーサーク号が消息を絶ったことを知り、探検を中止してスコット基地に帰還。28日、ニュージーランド南島のクライストチャーチ(Christchurch)に戻った。

 ニュージーランド当局者によると、28日もバーサーク号の捜索は続けられている。(c)AFP