【3月16日 AFP】トヨタ自動車(Toyota Motor)は15日、米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)郊外の高速道路で起きたとされる同社製ハイブリッド車「プリウス(Prius)」の急加速事故について、初期段階での調査結果によると、プリウスに乗っていた男性の証言には「矛盾がある」との見解を発表した。トヨタ側は、調査の結果、電気系統に問題は見つからず、機械類も十分に調整されていたとした上で、「性急な判断を下した」専門家などを批判した。

 この男性、ジェームズ・サイクス(James Sikes)さんは前週、運転していた2008年型プリウスが急加速したとして大きく報道され、メディア取材などに対し恐怖の体験を語っていた。 

 トヨタの広報担当者、マイク・マイケルズ(Mike Michaels)氏は記者団に対し、「分析はまだ終わったわけではないが、トヨタは今月8日の出来事(急加速事故)と今回の調査結果との間に、著しい矛盾があると考えている」と述べた。

 マイケルズ氏は、「われわれは、男性をうそつき呼ばわりするつもりもないし、男性が何をして何をしなかったのかについて判断するつもりもない」と語った。

 一方で、マイケルズ氏は、問題のプリウスのブレーキとアクセルを同時に踏んだ場合にブレーキを優先するブレーキ・オーバーライド・システムに問題はなく、サイクスさんがブレーキを十分に踏み込めば、エンジンの回転は減少したはずだとしている。問題のプリウスの前輪ブレーキは過熱し「ほぼ損傷」していたが、それ以外のシステムは正常に機能していたという。

 さらに、このプリウスのコンピューターには、事故が起きていたとされる時、立て続けに250回、ブレーキとアクセルが交互に踏み込まれていた事実が記録されていたという。

 マイケルズ氏は、急加速事故の報道について「センセーショナルに取り上げた」として批判するとともに、トヨタのリコール問題がメディアに取り上げ始められて以来、急加速したとのクレームが「不可解にも増加している」と指摘した。

 トヨタの発表に先立ち、米運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety AdministrationNHTSA)は同日、同局による分析では、急加速の原因となった可能性のある不具合を見つけることはできなかったと発表した。(c)AFP/Romain Raynaldy