【10月16日 AFP】(一部更新、写真追加)米コロラド(Colorado)州で15日、6歳の少年が自家製のヘリウム気球に乗ったまま自宅の屋根裏から飛ばされたとの通報を受け、地元警察が大規模な捜索を展開したが、約4時間後に少年の無事が確認された。

 この大騒動の主人公となったのは同州フォート・コリンズ(Fort Collins)に家族と暮らすファルコン・ヒーニ(Falcon Heene)君。ファルコン君の兄が「弟がよじ登っていた気球が飛んでいってしまった」と話したのを受けて、地元警察は総力を挙げて捜索を開始した。事件は全米テレビネットワークで報じられ、国中が固唾をのんで事態の推移を見守った。

 円盤形の気球は約2時間、上空を数十キロにわたり飛んだ後、ふわりと着陸した。ところが着陸後の気球には誰も乗っていないことが確認され、当局は最悪の事態を予測した。地元メディアは目撃者の証言として、上空を飛行中の気球から未確認の物体が落下したと報じていた。

 事件は悲劇的な結末を迎えると思われたが、記者会見中のジム・アルダーデン(Jim Alderden)郡保安官がヒーニ家から通報を受け、ファルコン君が生きていることが分かった。

「男の子はずっと自宅にいました。ガレージの上にある屋根裏部屋の段ボール箱の中に隠れていたんです」とアルダーデン保安官は記者団に話した。

 子供が行方不明になった場合、皆が自分を探していることに気づいた子どもが怒られるのを恐れてどこかに隠れたというケースは過去にもあったと同保安官は指摘する。

 警官から気球が飛ばされた時の状況について何度も確認の質問を受けたファルコン君の兄は、そのたびに「弟が気球に上っていた」とかたくなに主張していたという。

 ファルコンくんはその後、父親のリチャード(Richard Heene)さん、母親のマユミ(Mayumi Heene)さん、兄のブラッド(Brad Heene)くん(10)とリョウ(Ryo Heene)くん(8)とともに恥ずかしそうに報道陣の前に姿を現した。リチャードさんが声を荒げて叱ったため、ファルコンくんは隠れていたのだという。

 地元紙によると、ファルコン君の父親のリチャードさんは元気象予報士で、アマチュアの科学者。妻や息子たちを連れては、データの収集のため、よく嵐を追跡しているという。以前、「Wife Swap(妻を交換します)」というリアリティーショー番組に出演したこともある。(c)AFP/Jeanie Stokes