【6月24日 AFP】オーストラリアの北部特別地域の、ワニが出没する干潟にヘリコプターが墜落し、ヘリのパイロットが、負傷した乗客の低温症を防ごうと首まで砂に埋めて救助を待った。地元紙のノーザンテリトリー・ニュース(Northern Territory News)が22日、伝えた。

 ノーザンテリトリー・ニュースによると、ヘリコプターは21日夜、北部特別地域ダーウィン(Darwin)の南西約60キロの地点でパイロットがワニを見つけ、よく見ようと接近したところ墜落した。

 パイロットは、衛星電話で救助を要請した後、墜落した一帯がイリエワニ(saltwater crocodile)の生息地だと気づき、乗客を引きずって海岸沿いから避難した。救助隊が明朝まで到着しない可能性があると考え、パイロットは負傷した乗客が低温症に陥るのを防ぐため、乗客を首まで砂に埋めたという。

 その夜、到着した救助隊は、砂に埋められた男性は死亡していると思ったという。CareFlightヘリ救助サービスのディレクター、イアン・バドハム(Ian Badham)氏は、オーストラリア放送協会(ABC)ラジオに出演し、「砂に埋まっていたので、最初は乗客が死亡していると思ったからびっくりしたよ」と語った。

 バドハム氏によると、乗客は胸部と腕を負傷しており、病院に搬送された。パイロットは軽傷だが、深刻なショックを受けているという。

 オーストラリアでは、今年これまでにイリエワニに襲撃されて2人が死亡している。イリエワニは最大で体長7メートル、重さ1トン以上にもなるという。(c)AFP