【2月6日 AFP】USエアウェイズ(US Airways)の旅客機が前月15日に米ニューヨーク(New York)のハドソン川(Hudson River)に不時着水した事故で、機長と管制当局の交信記録が5日公開され、機長が非常に冷静に対応していた様子が明らかになった。

 チェズレイ・サレンバーガー(Chesley Sullenberger)機長が操縦していたUSエアウェイズのエアバス(Airbus)A320型機は、離陸直後に鳥の衝突でエンジンの推進力を失ったが、機長は冷静に対応し、ハドソン川に不時着させることに成功。乗客150人と乗員5人を安全に避難させた。

 米連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)が公表したテープには、ニューヨークのラガーディア空港(LaGuardia Airport)を離陸後、約900メートルの位置で鳥と衝突した直後からの機長と管制の交信が記録されている。

 機長:「フライト1549(中略)、鳥と衝突した。ラガーディアに戻る」
 管制官1:「了解した」
 管制官1:(管制官2に対し)「緊急帰還がある。鳥と衝突し、両エンジンの推進力を失った。即時帰還を求めている」

 その後、管制官は機長に対し、ラガーディア空港への着陸についてたずねるが、機長は淡々と「無理だ。ハドソン川に着水するかもしれない」と答えた。

 続いて機長は、近隣のニュージャージー(New Jersey)州Teterboro空港に着陸可能かどうか質問した。

 しかし、管制官と機長が幾度か交信を交わした後、管制官が「彼(機長)はハドソン川に不時着すると言ったと思う」と述べている。

 ハドソン川への不時着をとらえた監視カメラの映像には、注意深くコントロールされた機体が完全に水平を保ったまま着水する様子が映されていた。水平に着水できなかった場合、機体が真っ二つになる可能性もあった。(c)AFP