【10月21日 AFP】(一部更新)メキシコ、テワンテペク地峡(Tehuantepec Isthmus)の太平洋岸沖で20日早朝、出稼ぎ労働者を乗せ中米から米国へ航行していたと見られる船舶が転覆し、少なくとも15人が溺死、9人が行方不明となっている。2人は救助された。メキシコ海軍が同日伝えた。

 先の報道では、熱帯低気圧「Kiko」の影響で荒れた同水域で船舶が転覆し、24人が死亡したと伝えられていた。全米ハリケーンセンター(US National Hurricane Center)によるとKikoは20日、毎秒55メートルの暴風を伴い北西に進んでいたという。

 海軍は船とヘリコプターによる救出活動を続けており、9人の行方不明者の捜索に全力を投じているという。

 オアハカ(Oaxaca)州当局は、救出された2人がエルサルバドル人であることや、事故水域が米国への不法移民を乗せた船がしばしば使う航路であることから、船に乗っていた大半は中米からの不法移民だと見ている。犠牲者の身元は特定されていない。

 テレビ報道では、救助されたグアテマラ人女性の話として、船は16日にグアテマラを出発したが、しけで難破したという。乗り合わせた乗客・乗員はグアテマラ、エルサルバドル、およびホンジュラスの出身者で、合計25人ほどだったとされる。女性は、たるにしがみついて助かった。犠牲者の遺体は沿岸に流れ着いたほか、漁船によって収容された。

 数年前にもグアテマラおよびエルサルバドルからの移民約20人が、同水域で同様の事故に遭い死亡している。メキシコ南部と国境を接するグアテマラは貧困と政情不安に苦しんできた。米国のグアテマラ人からの送金は同国最大の外貨収入源となっている。(c)AFP