【8月12日 AFP】北京五輪の開会式のTV放映でCG画像が使用されていたことに続き、メーン会場「国家体育場(National Stadium)」で9万1000人の観客を前に歌った少女も、振り付けだけの「口パク」だったことが判明した。開会式の音楽監督自らが12日、国営放送とのインタビューで明らかにした。

 8日の開会式で歌って一躍人気を集めたのは、おさげ髪の少女、林妙可(Lin Miaoke)ちゃん。共産党カラーの赤いドレスを着た妙可ちゃんの写真は、世界の新聞やウェブサイトをにぎわし、12日の現地英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は「新しい星」とほめたたえた。開会式の音楽を担当したのは、中国出身の著名作曲家でフランス国籍を持つ陳其鋼(Chen Qigang)氏。

 しかし同氏のインタビューによると、妙可ちゃんは外見から舞台の「表」に立つために選ばれ、まったく歌っていなかった。実際に歌っていたのは、楊沛宜(Yang Peiyi)ちゃん(7)だったが、沛宜ちゃんは丸顔で歯並びがあまりよくなかった。

 ウェブサイトSina.comでは一時、「楊さんの出演が選ばれなかったのは、われわれが適切なイメージを求めたから。国家にとって何が最適かを考えていた」と語る陳氏の談話が流れたが、後に中国国内のインターネット上から消去された。

 妙可ちゃんの登場は3時間に及んだ開会式の山場で、中国国旗入場にあわせ愛国歌「歌唱祖国」を披露した。陳氏は「国益のため。カメラに映る子どもはイメージ、感性、表現力すべて完全でなければならない。林妙可さんはこれらすべての点で素晴らしい。けれど声については、楊沛宜さんが完ぺき。音楽担当チーム全員が一致した」と語った。

 陳氏によると、会場に登場する少女と歌う少女が別という「口パク」を最終的に決定したのは、共産党政治局の幹部がリハーサルを視察した後だったという。(c)AFP/Charles Whelan