【7月24日 AFP】北京五輪を控え、直前の調整や合宿地として日本を選んだ出場選手や関係者らが、大挙して来日している。中国の政治的緊張、大気汚染、食の安全をめぐる懸念などが理由だという。

 少なくとも25か国、1000人近くの選手、コーチ、トレーナーら関係者が、中国ではなく日本各地で最終調整を行う予定だ。日本五輪委員会(JOC)の西村賢二(Kenji Nishimura)氏によると、JOCも把握していないような場所へも、さらに選手団が到着しているという。

 同氏は、各国の選手団が日本に押し寄せている理由に、トレーニング施設の便利さと、中国への地理的近さを挙げている。同様の理由から、隣国韓国でもこの時期、数百人の選手がトレーニングを行っているという。

■各国選手、日本各地で合宿

 岩手県花巻市では、ギリシャのボート選手団とエジプトのレスリング選手団が、すでにトレーニングを始めている。

 またスウェーデンの11競技、約70人の選手は22日、福岡に到着。女子七種競技の五輪金メダリスト、カロリナ・クリュフト(Carolina Kluft)選手もおり、コーチやトレーナーなど関係者も70人ほど同行している。

 女子棒高跳びで7月に入り、自らの世界記録を更新したばかりのロシアのエレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva)選手、オランダの陸上選手数十人も、95年にユニバーシアード(World Student Games)の開催地となったこの福岡でトレーニングを行う。

 福岡市の担当者によると、スウェーデンとオランダのチームが同市を選んだのは、スポーツ施設が充実していることと、北京(Beijing)への直行航空便が毎日運航しているためだという。

 山形県上山市では、中東のバーレーン(Bahrain)の陸上2選手、女子1500メートル金メダリストのマリャム・ユスフ・ジャマル(Maryam Yusuf Jamal)と、男子800メートルのYusuf Saad Kamel選手が、8月6-17日にトレーニングを行う。バーレーンの陸上チームは、前年開催された世界陸上大阪大会の際にも同地で訓練を行った。

 上山市の当局者によると、バーレーンの選手は中国の大気汚染や食の安全を懸念しており、また気温が摂氏35度を超える北京での訓練は難しいと考えているという。標高約1000メートルにある同市では、夏でも気温は22-23度程度までしか上がらない。

 また、英国の水泳選手と関係者は、7月下旬から1週間、大阪に滞在する。

■暴動で合宿地変更

 一方、和歌山県で8月8-13日に直前合宿を行う男子400メートルのレスリー・ジョーヌ(Leslie Djhone)選手らフランスの陸上選手5人は当初、上海(Shanghai)での合宿を予定していた。

 しかし、3月のチベット(Tibet)暴動への中国政府による武力弾圧に対し、フランスで抗議デモが発生。これへの反応として、中国国内で反仏行動が強まったため、合宿地の変更を余儀なくされた。

■ソウル五輪の際も多数の選手団が日本合宿

 JOCの西村氏によると、五輪開催地では開催直前は、トレーニングを行う時間や環境が制限されることから、別の場所で合宿するのはよくあることだという。

 夏季大会の前回のアジア開催にあたる1988年ソウル五輪の際にも、30か国以上の選手が日本で最終調整を行った。当時は、韓国旅客機の爆破事件や墜落事故が相次いでいたため、選手らはソウル(Seoul)直行を避けたと同時に、日本で数日間トレーニングしながら時差に対応した。(c)AFP/Shigemi Sato