【5月3日 AFP】来日中の亡命ウイグル人組織の代表は2日、中国政府がチベット(Tibet)での弾圧に平行して「文化的ジェノサイド」を行っているとして北京五輪のボイコットを訴えた。ドイツに本部を置く世界ウイグル会議(World Uighur Congress)のドルクン・エイサ(Dolkun Isa)事務局長がAFPのインタビューに応じて述べた。

 エイサ氏は、「中国は五輪を開催する資格がない。五輪は平和、自由、そして友好を象徴するもの」と主張した。

 さらにエイサ氏は、人権団体が中国政府による現地諸民族への弾圧を報告するチベットや新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で人権状況が改善されていないと指摘した。

 トルコ人の一派であるウイグル人は漢民族が多数を占める中国より文化的・民族的に中央アジア諸国に近い関係を持つが、多くが新疆ウイグル自治区に住む。

 ウイグル人活動家らは同自治区を「東トルキスタン(East Turkestan)」と呼び、独立や自治権獲得を目指してきた。

 エイサ氏は、安倍晋三(Shinzo Abe)前首相や麻生太郎(Taro Aso)元外相らを含む国会議員と会談し、胡錦濤(Hu Jintao)中国国家主席が来日した際に人権問題の改善を働きかけるよう要請した。

 これまで中国はウイグル人活動家をテロリストと見なしてきた。今年に入って中国政府は、ウイグル人活動家による中国航空機へのテロ攻撃計画と北京五輪での外国人誘拐計画をそれぞれ未然に阻止したと発表している。

 これに対しウイグル人活動家らは、五輪開催を前に中国政府が異論・異議を封じ、新疆ウイグル自治区での厳格な統治を正当化するためにテロ攻撃の恐怖を故意にあおっていると主張する。

 エイサ氏によると、今年3月23日にウイグル人女性らが宗教の自由を求めて行った「平和的デモ」では700人が当局に逮捕されたほか、過去4-5か月でウイグル人1万人以上が治安に脅威を与えたとして逮捕されたという。

「逮捕されたウイグル人は、当局から五輪終了後まで身柄を拘束すると言い渡された」という。(c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura