【3月18日 AFP】国際五輪委員会(International Olympic Committee、IOC)は現地17日、大気汚染が深刻な場合には有識者らによる北京五輪の競技順延の提言が行われることを示唆した。

 IOC独自の分析による北京の大気データを発表したIOCの医事委員長を務めるアルネ・リュンクビスト(Arne Ljungqvist)氏は、有識者団体が医事委員会等の代表者で構成されると語った。また最終的に判断を下すのはIOCの権限であるとしたリュンクビスト氏は「事実に基づいた調整委員会を備えるために最適な枠組みを持たなければならない」と話し、過去にも五輪で競技が延期になったことがあったものの、それが大気汚染を理由にしたものではないと付け加えた。

 北京五輪の開催期間と比較できるよう2007年8月8日から29日までの期間で集められたデータが同市環境保護局(Beijing Environmental Protection Bureau)から提供され、4人の独立した科学者による分析が行われたことを明かしたリュンクビスト氏は「大気汚染が論点になったのは今回が初めてであり、我々はそれを深刻に受け止めている。今回の分析は日程の順延を示唆する事実が挙がった場合に何らかの行動を起こすことができるよう、望ましい形で行った。北京は世界で最も汚染された都市の一つであり、選手や役員は空気の質の悪さに懸念を示している。私の感想と結論として主な問題は大気汚染ではなく、抱える問題は暑さと湿気になるだろう」と語り、データが自身の予期していたものよりも良く、五輪が大気汚染の影響を受けることは無いだろうとしている。

 また、リュンクビスト氏は大気汚染から一番影響を受けるのはマラソンや自転車競技、長距離の競歩など、耐久種目に参加する選手であるとし「それでも健康上のリスクは多くない。どちらかといえば選手が最高のレベルで競うことが出来ないというリスクがある」と、ある程度の条件で競技を行うことが出来るとの考えを示した。

 しかしながら、北京の高温多湿の条件では喘息のような呼吸器疾患を患っている選手はさらに苦しむ可能性がある。(c)AFP