【8月23日 AFP】ジャマイカのウサイン・ボルト(Usain Bolt)は22日、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長から非難を受けたことに対し、自身はライバルたちを軽視していたわけではなく、ただ楽しみ、楽しませるため競技に臨んだとの見解を示した。

 男子4x100メートルリレーを制し、3つの世界新記録で3冠を達成した22歳のボルトは、自身はただ走るだけではなく、観衆を楽しませる選手だと語った。

 ヨット競技で3度の五輪出場の経験を持つロゲ会長は22日、AFP通信(Agence France-Presse)に対し、ボルトが並外れた才能を持った選手であることを認めながらも、ボルトには学ばなければならないことがあると明かした。

 これまで選手を公に批判することのなかったIOC会長の慣習を破り、ロゲ会長は「ボルトは若い。ライバル選手にもっと敬意を表すべきであり、それが五輪の精神のはずだ。彼はゴール後にライバル達と握手を交わすべきだ。まだ21歳なので学ぶことがある」と語った。

 しかしボルトは、競泳のマイケル・フェルプス(Michael Phelps、米国)を「象徴的な存在」としたロゲ会長が、ボルト自身が行っていることを全く理解していないとしている。

 ボルトは「僕はパフォーマーだ。みんなを楽しませるために出場する。楽しむのはよいことだ。楽しめないならば仕事をしても意味がない。それが僕であり、僕は変わることはない。僕はいつでも自分自身でありつづける。それが僕の個性だ」と語っている。

 ボルトは男子100メートル決勝では終盤に力を緩めて両手を広げるポーズを見せたが、ロゲ会長はそれを「捕まえられるものなら捕まえてみろ」との意味で受け止めてボルトを非難していた。

 ボルトはそのことに対し「それが僕であり、僕は楽しんでいる。観衆は僕の出番を楽しみにしている。彼らは僕にショーを期待している。だから僕は自分がしたいことをする。僕は人を楽しませるのが好きだ。彼らは高いお金を払って見に来ている。彼らは個性的なものを見たいと思っている。だから僕はショーを行う」と語っている。

 ボルトが男子4x400メートルリレーに出場していれば、1984年ロサンゼルス五輪で4冠を達成したカール・ルイス(Carl Lewis)氏に肩を並べる可能性もあった。

 しかし、ボルトは「4x400メートルリレーに出場しようとは考えていない。3つの金メダルだけで満足している」と語っている。また「走り幅跳び?今はそれも考えていない」とも語り、2012年のロンドン五輪ではルイス氏がロサンゼルス五輪で獲得した4個のタイトルのうちの走り幅跳びには取り組むつもりはないとの見解を示した。(c)AFP