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フランス料理界の聖域「ワインリスト」に日本酒がデビュー! - フランス

  • 2006年10月11日 20:03 発信地:フランス
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写真はパリ滞在中の久野氏(2006年10月5日撮影)。(c)AFP/FRED DUFOUR

【パリ/フランス 11日 AFP】フランスの最高級レストランに日本酒が浸透し始めている。権威あるレストラン・ガイドブック、『ミシュラン(Michelin)』で最高の3つ星に評価されている3店でも例外ではない。

 フランス料理界における保守主義の最後の砦といえるのが、「ワインリスト」。国産ワイン以外の扱いは、ようやく最近になり、米・カリフォルニア(California)やニュージーランドといった「にわか産地」ワインにメニューのスペースを譲り始めた程度で、歓待といった趣では決してない。

 そうした中、最も奥深い聖域にあるワインリストに、昨年から日本酒が浸透し始めたことは驚きといえる。その影には、さまざまなプロの動きがあった。

■伝統を受け継ぎ広める、若き15代目

 十五代目久野九平次氏は40歳前後、183センチの長身の若い紳士だ。久野氏の家は、古くは米商人に始まった由緒ある蔵元だが、氏で15代を数える「久野九平次」のうち、「酒造りに関わったのは9代のみ」と本人は申し訳なさそうにいう。

Domaine Neuf」(日本では「醸し人九平次」の名で知られる)は久野氏が手がけた銘柄で、日本酒として最高評価を受けた。年間の生産量はマグナムボトル換算で約6万本と少なく、久野氏はそれを売るために特別な努力を強いられたことはなかった。しかし現在は、新たな使命感に燃えている。

「日本酒が素晴らしいワインにひけをとらないことをお見せしたい。洗練されたアジア料理にワインが合うように、美食家が賛美するフランス料理に日本酒がぴったりなこともある」(久野氏)

 久野氏のマーケティング戦略は単純明快だ。フランス語を話すアシスタントを連れ、パリのトップレストラン数十軒をまわり、店のオーナーかシェフにアプローチする。
「最初は大変だった。どのレストランでもフランス料理と一緒に日本酒を提供するというアイデアに大きなためらいがあったのだ。しかし、試飲だけはしてもらえるよう、ひとたび説得すれば・・・」と久野氏は回想する。

■3つ星点が次々と受け入れ

 久野氏のアイデアを受け入れた中には、ミシュランの3つ星レストランの1つ「ギー・サヴォワ(Guy Savoy)」のソムリエ、Eric Mancio氏がいる。
「はじめは懐疑的だった。日本酒に対して好印象を持たなかったから」

 しかし、好奇心旺盛なMancio氏とオーナー・シェフのサヴォワ氏は、さまざまな日本酒との組み合わせを試せる6品のフルコースを用意してみた。そして最初のひと口で、ひと目ぼれしたという。
「驚くべき繊細さと複雑さでした」。

 サヴォワ氏は自身のメニューの中でウニ料理と合わせ、ブルゴーニュ(Bourgogne)産高級白ワインの提供温度と同じ14度でサーブしてみた。この温度は、日本酒の味がクリアにひきたつ温度でもある。

 リヨン(Lyons)近郊ロアンヌ(Roanne)にあるもう1つの伝説的三つ星レストラン、「トロワグロ(Troisgros)」のチーフ・ソムリエ、Christian Vermorel氏は、日本酒を一皿の特別料理と組み合わせることを提案した。糸釣りのスズキをブロス(あらゆる料理の下地となるスープ)で蒸す一品だ。
「これまでに何種類かのワインとの組み合わせを試したが、しっくりくるものがなかった。日本酒ならフルーティで酸味が少なく完璧だった」。

 もう1人のトップ・ソムリエ、パリの「ル・ムリス(Le Meurice)」のNicolas Rebut氏は、ウニなどの臭みを除くために日本酒を使っている。
「世界各国からお客様を迎えるの当店では、この方法が最適」

■普及の新たな担い手は「信奉者」

 久野氏が日本酒を携え、先述のようにアシスタントのみを連れてフランスのレストランめぐりを始めたのは2004年。だが現在、ロンドンで活躍する2人のフランス人ソムリエが強力な仲間となろうとしている。彼らのような「改宗者」こそが、日本酒の魅力を最も熱心に「布教」する。

 Xavier Chapelou氏とJean-Louis Naveilhan氏が日本酒からひらめきを得たのは、高級百貨店「セルフリッジ(Selfridges)」の支配人補佐をしていたころだ。
「当時、『東京ライブ』と名付けたフェアを開催し、日本全国の酒造から取り寄せた日本酒数十種類を紹介した」(Chapelou氏)
 Naveilhan氏は、「最初はアルコールを薄めたような味だと感じた。だが後から、その微妙さ、複雑さを発見し、とても驚かされた」と語る。

 日本酒に大きな衝撃を受けた2人は、そろってセルフリッジを退職。3年間を準備に費やした後の2004年、日本酒の輸入企業「Isake」を立ち上げた。また、英国の一流レストラン「The Fat Duck」のHeston Blumenthalシェフや化学者らとも協力し、日本酒の持つ自然のうまみ成分を解析して料理とのマリアージュに役立てている。
「日本酒の素晴らしさは、自然の味をさらに引き立てる点にある。特に、ワインとの相性が悪いとされるアスパラガスやチョコレートにも非常にうまく合うのだ」

 写真はパリ滞在中の久野氏(2006年10月5日撮影)。(c)AFP/FRED DUFOUR
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