【ワシントンD.C./米国 5日 AFP】ガソリンが高値である国々で主に利用されてきたスクーターを、ガソリン価格の高騰を受けて米国でも利用する人々が増えている。
ワシントン(Washington)で退職後の人生を送るカール・レビサン(Karl Levithan)さん(55)は、4月から11月の気候の良い時期に、愛用のスクーター、シルバーのベスパ(Vespa)で郊外のツーリングを楽しんでいるという。レビサンさんは、ガソリン価格が1ガロン(3.8リットル)当たり3ドル(約347円)にも値上がりしていることについて「もっと高いときもある。アメリカ人はもっと効率の良い交通手段を考えるべきだ」という。1ガロン当たりの走行距離が32キロ程度の四輪車に比べ、スクーターは97キロから129キロもの走行が可能だ。
■2005年度のスクーターの売り上げは前年度比18%増
スクーターの発祥地、イタリアのミラノと交通事情は大きく異なるものの、米国でのスクーターの売り上げは今年度は史上最高台数を記録しそうだ。モーターサイクル産業協議会(the Motorcycle Industry Council)のマイク・マウント(Mike Mount)さんによれば「特に都市部、リゾート地、学生街などでの売れ行きが好調だ」という。同協議会の調べでは、2005年度のスクーターの売り上げは前年度から18%増の11万3000台だった。
スクーター市場は日本メーカーのホンダやヤマハが主力となってきた。しかし、環境対策の不備から1985年に一度撤退したイタリアメーカー、ピアジオ社(Piaggio)のベスパも巻き返しを計る。2000年に復活したベスパは、レトロな外装で大きな人気を呼んだ。世界各国に180の支店を持つピアジオ社の米国広報担当、キャスリーン・レイノルズさんによると、同社の売り上げの多くはニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、シアトル、テキサス州ダラス(Dallas)などが主だという。首都ワシントンでベスパショップを経営するイタリア人のジェリー・ヘルフゴット(Gerry Helfgott)さんは、テキサスよりもガソリン価格が高いワシントンではスクーターの人気が急上昇していると言う。
■顧客の4割以上が女性
3年前ダラスに二輪車ショップを開店したランディ・キャンベル(Randy Campbell )さんは、二号店を近郊のフォートワース(Fort Worth)に近日オープンする予定だ。キャンベルさんは「スクーターを見かける機会が増えるほど、人気も上昇する」と語る。また、顧客の多くは35歳から55歳でその4割以上が女性だという。約半数の顧客が3000ドル(約35万円)から4000ドル(約46万円)程度のスクーターを購入し、その目的は趣味と四分の一が経済的な理由、「カッコいいから」という顧客もいる。スクーターでよく郊外にツーリングに出かけるというレビサンさんも「よりレトロなほど、かっこよく見える」と言う。また、スクーターは「オートバイよりも社会的な好感度も高い」という。「スクーターを見ると、皆微笑んでくれるよ」。キャンベルさんは「ほとんどの顧客にとって二輪車は四輪車の代用にはならない」という。しかし、「二台目をスクーターに代える顧客もいる」と続ける。
学生街にあるキャンベルさんの二輪車ショップのサービスマネジャー、ライアン・サムナー(Rian Sumner)さんは二輪車ライダーの高齢化現象を指摘する。「スクーターを利用するのは学生より教授たちが多い。学生はエアコン付きの大型四輪車を好むからね」。
一方、人口は20万人の小都市、アイダホ州ボイシ(Boise)で二輪車ショップを経営して2年になるバレリー・エイカー(Valery Aker)さんの店では、毎月20台のスクーターが売れているという。エイカーさんは「スクーターを見れば見るほど、顧客はそのコンセプトに共感する」という。「それにスクーターは楽しいから」
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