【ワシントンD.C./米国 27日 AFP】イラク駐留米軍では、これまでに、2001年9月11日の同時多発テロ事件による死者数を上回る3000人近い死者を出した。とはいうものの、応急処置の迅速化と医療の向上により、これまでの戦争と比較すると生存率は格段に上がり、3000人は「予想をはるかに下回る」数字であるという。
米国防総省(Pentagon)の統計では、イラク駐留米軍の死者1人につき負傷者7人以上が出ている計算となる。
政府説明責任局が6月に発表した報告書には、「負傷がもとで死亡する確率は、第2次大戦時には30%であったが、アフガニスタンとイランにおける戦闘では、医療の向上により、3%にまで低下した。しかしながら外傷性脳損傷や手足を失うなど、重い障害を負って帰国する人は多い」とある。
装備や軍事車両の高性能化、空中査察の徹底化も、米軍の死傷者数の減少に貢献している。イラク戦争は「モチベーションが高く高度に武装した集団を相手にしたベトナム戦争や朝鮮戦争」とは性質が違うということも、背景にある。イラクの武装勢力は、道路わきに仕掛けられた爆弾などの簡易爆発物と遠隔操作の迫撃砲を唯一の「武器」として、米軍に対峙している。
■従来と違う対策
William Winkenwerder国防次官補は最近、アフガンとイラクの戦争について、「米軍を守るには従来とは違う対策が必要だ」とコメントしたが、その一環として、重傷者の応急処置と搬送の迅速化のために外科チームが戦闘地のできるだけ近い場所に配置されている。また、各軍隊には止血帯が支給され、それを片手でも装着できるようにするトレーニング、さらには、負傷者を手当てするためのトレーニングも提供されているという。
重傷者は、かつては現場で集中治療が行われていたが、今は医療専門チームによってただちにドイツや米国の病院に運ばれ、そこで集中治療を受けることになっている。
■国防総省統計
国防総省の統計(9日時点)によると、米兵の累計負傷者数は、簡易爆発物によるものが1万1233人。迫撃砲やロケット弾によるものが1969人。銃弾によるものが1358人。落下物に当たったり銃弾の跳ね返りを受けたことに起因したもの、爆音による難聴といった副次的な負傷は、1579人にのぼる。連合軍による空爆の際に負傷した米兵も663人を数え、死者は5人にのぼっている。軍用機の墜落事故による負傷者は39人、死者は76人。一方で、パラシュート事故、交通事故、手榴弾などによる負傷者は比較的少ない。
統計は、「若い兵士の犠牲者が多く、幹部の犠牲者が少ない」というもう1つの真実も浮かび上がらせてくれる。2日の時点で、22歳以下の負傷者は6704人。負傷者の半数以上は24歳以下であるという。また、一般兵士の負傷者が1万3800人を超えているのに対し、下士官の負傷者は6980人、幹部に至ってはわずか1269人にとどまっている。
人種的に見ると、負傷者の75%にあたる1万5807人が白人となっており、黒人は1806人、ヒスパニックは1328人である。
性別では、負傷者の圧倒的大半が男性だが、女性の負傷者も434人を数えている。
写真はイラクで、ロケット砲で負傷した兵を運ぶ米軍兵士ら。AFP PHOTO/US ARMY
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