【ワシントンD.C./米国 26日 AFP】米国で、動画サイトやブログが選挙戦を展開する主力媒体となりつつある。マスコミで報道されない情報が、規制を受けずに提供される場となっているのだ。
■選挙戦に大きな影響力を持ち始めたブログサービス
ユーチューブ(You Tube)のような動画投稿サイトやDaily Kos、RedStateといった人気の高いブログサービスなど、オンライン上には候補者たちに関する意見が検閲を受けることなく掲載されており、世論や選挙結果に大きな影響力を持つと考えられている。
「多くの点で、ブロガーが記者の役割を、ビデオ撮影者がテレビのリポーターの役割を担っています」と話すのは、ワシントンD.C.のシンクタンク、Pew Internet and American Life ProjectのLee Rainie所長だ。AFPの取材に対し、「インターネットは政治的なコミュニケーション環境で重要な役割を果たすもう1つのメディアになりつつあります」と語った。
選挙戦にインターネットが及ぼす影響の大きさは、政治家たちがみっともない失敗をやらかす様子を撮影した動画が多数出回っていることからも明らかだ。
■政治家の失態をとらえた投稿映像がネット上で公開され、支持率が激減
そんな「決定的瞬間」をとらえたビデオの1つが、共和党・バージニア州選出のジョージ・アレン(George Allen)上院議員が、対立候補の選挙運動員のことを話すのに、人種差別的な中傷語である「macaca(サル)」という表現を使っている映像だ。
この動画は、ユーチューブに投稿されていた。
ユーチューブは、1か月のウェブサイト訪問者が2000万人を超えると言われる。このビデオが公開された後、アレン上院議員の支持率は急激に下がった。
同じく共和党で、モンタナ州選出のコンラッド・バーンズ(Conrad Burns)上院議員も、ユーチューブに投稿された動画にいら立つ1人だ。公聴会の最中に居眠りをしているシーンが映されていた。
また、同上院議員の自宅で働く「小さなグアテマラ人のいいやつ」の法的地位について冗談を飛ばしているビデオや、地元の有権者に向かって顔の見えないテロリストに注意するよう呼びかけた後で、そのテロリストとは「昼間はタクシー運転手だが夜には殺人者に変ぼうする人物」だと言った映像なども掲載されていた。
これらの動画は、対立候補の選挙活動の一環として投稿されたり、匿名の人物によって投稿されたりしたものだ。
数々のブログや政治マニアたちがこれらのビデオや大手マスコミが報じた「事件」を引用し、選挙戦の材料にしたり、活動家を動員したりしている。
■ソーシャル・ネットワーキング・サイトで若年層の票集め
Rainie所長によれば、政治に無関心な若い層の票を集めようと、候補者らがソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)に参加したり、テキスト・メッセージ・サービスを利用する例も増えているという。
Pew Internet and American Life Projectが9月に発表した統計では、8月のある特定の1日に、政治全般または11月7日の中間選挙のニュースや情報を求めてインターネットに接続した米国人は、2600万人だった。
この人数は、2002年の中間選挙でインターネットを使用した人数の2.5倍に相当する。
■政治運動におけるインターネットの役割はますます拡大
2004年の大統領選挙で民主党のハワード・ディーン(Howard Dean)候補の選挙対策責任者を務め、資金集めや票集めにインターネットを活用した草分け的存在のジョー・トリッピ(Joe Trippi)氏は、米国だけでなく世界的に、政治運動におけるインターネットの役割はますます大きくなるだろうと語った。
「今回の選挙では、選対側が利用できる手段がいろいろあるのがうらやましい。インターネットの影響力はどんどん強まっており、全国各地の選挙戦でその存在感をはっきり示すだろう」(トリッピ氏)
だがReinie所長は、ブログや動画サイトが世論に影響していることは調査から明らかだとしつつも、「(有権者の)意見の変化が一時的なものか、候補者に決定的な打撃を与えるものかは、まだ不透明です。投票当日まで分からないでしょう」と述べ、実際の投票行動にどうつながるかは不明だとしている。
写真は、動画投稿サイト、ユーチューブの画面。(c)AFP